先日、初めての店内イベント「nest vol.1 “record collectors club”」を実施しました。
簡潔に言うと、お気に入りのCD・レコードを持ち寄って、店内のプレーヤーで流しながらお話する会です。

どうしてこういう会を開こうと思ったかというと、まだ自分が静岡に住んでいなかった頃に、別の場所で開かれていた「レコードで音楽を聴く会」に参加したことがあったのがきっかけでした。
ただ、その時はもっと大人数で(15人くらいいたかな?)、持ってきたレコードを持って全員の前に立ち、軽く自己紹介&そのレコードに関するエピソードを話し、一曲流して終了。みたいな感じだったので、参加者同士の交流はほとんどなかったんですよね。

それよりかは、日々の営業中にするお客さんとの楽しいおしゃべりの延長のようなものをやりたいなと思い、このイベントが生まれました。
うちに来てくれるお客さまはおひとりで来られる方が多く、大半の方が「身近に音楽の話ができる人がいなくて…」と口にされるので、ならそういう場を作って、みんなで楽しい時間を過ごせたらいいなと思ったのです。


今回ご参加くださったのは、埼玉から(!)お越しのOさん、普段からよく遊びに来て下さる市内在住のKさんの計2名。
お二人ともこうした会に参加されるのは初めてで、わたしも初のイベント実施なので、みんなちょっぴりドキドキ&ソワソワしながら会が始まりました。

集まったCD・レコード、流した音楽をご紹介

今回は3人で16枚のCD・レコードが集まりました。

遠方からお越しのOさんは持ち運びしやすいCDを、
お近くにお住みのKさんはレコードを持ってきてくれました。

これらを店内にあるオーディオで流していきます。

当店のレジ兼カウンター。
並んでいるCD・レコードは私物で、BGMで流しています。

枚数が多くて、もはや流した順番はあやふやなので、それぞれが持ってきた盤と流した曲を簡単に紹介していきます。「イベントに興味はあったけど参加できなかった…」という方もぜひ、この記事から当日の様子を想像して楽しんで頂けたらと思います。


1.東​郷​清​丸​巛 at 飯​島​商​店(店主セレクト)
こんなところでサクっと言う話じゃないんですが、先日シンガーソングライターの東郷清丸さんご家族が当店にお越しくださいました。
「うちにCDを置かせてください!」という連絡をした時から「いつかお店に伺いますね」と言って頂いてたのですが、まさか本当に来て頂けるなんて…とびっくりしてしまった小話を交えながら、「ゆくゆくソング」「サマタイム」をPLAY。

2.The Lemon Twings / In My Head(店主セレクト)
ニューヨーク出身のダダリオ兄弟によるデュオ・The Lemon Twigs が今年出したアルバム「Everything Harmony」のリードシングル。瑞々しいサウンドとメロディはさることながら、中盤で流れる2人のコーラスがとても美しく、ずっと聴いていたくなります。

3.Everfor / 浪漫中華街(Oさんセレクト)
台湾のシティポップバンド・Everforによる2018年リリースのアルバム「Nobody Island」収録。タイトルの通りロマンティックで可愛らしさもある、涼し気なシティポップソング。

4.Say Sue Me / My Problem(Oさんセレクト)
お次は韓国のインディーロックバンド・Say Sue Me が2017年にリリースしたアルバム『Say Sue Me』収録の心地よいサーフロックナンバー。Best Coast などのUS西海岸バンドに通ずる軽やかさがあります。

5.Guitar / House Full of Time(Oさんセレクト)
ドイツのエレクトロニカ・アーティスト、Michael Lueckner(ミハエル・ルックナー)のソロプロジェクト・Guitar の2002年発売1stアルバム収録。水面をゆらゆら漂うようなシューゲイザーサウンド。アカシバ・アヤコさんという日本人女性の方がボーカルとして参加しているようです。

6.audio safari / 車輪(Oさんセレクト)
京都出身のスリーピースバンド、audio safari が2007年に出した唯一のアルバム『ウルノソラ』収録。スーパーカーや『world’s end supernova』時代のくるり、後のサカナクションにも通ずるようなエレクトロサウンドに、ほんのりとポストロックの香りがします。

7.Pictured Resort / Now and On & YeYe / a girl runs(Oさんセレクト)
金沢のインディーレーベル「Ralley Label」が2015年に出したコンピレーションアルバム『ソコカシコ 2015』に収録の2曲。Pictured Resort はその名の通りリゾートミュージックを得意とするアーティスト。YeYe は最近になってようやく聴き始めたんですが、昔はこんな感じのポップソングを書かれる方だったんですね。なんだか真舟とわさんを思い浮かべました。

8.Japanese Breakfast / Driving Woman(Oさんセレクト)
韓国・ソウル生まれ、米国・フィラデルフィアを拠点に活動するミシェル・ザウナーこと Japanese Breakfast が2017年にリリースした2ndアルバム『Soft Sounds from Another Planet』の1曲目。アトランタのインディーロックバンド・Deerhunter ばりのサイケデリアサウンド。めちゃくちゃ心地よいです。

9.Homecomings / HURTS(Oさんセレクト)
京都出身の4人組バンド・Homecomings が2016年にリリースしたアルバム『Sales of Broken Dreams』収録のリードナンバー。リリース当時、この曲がインディーリスナーの間ですごくヒットしていた記憶があります。彼女達がまだ英語詞で歌っていた頃の代表曲的なイメージ。改めて聴いても良いですね。

10.advantage lucy / グッバイ(Oさんセレクト)
90年代に結成&主に活動していた日本のバンド、advantage lucy が1999年に出したシングル曲。懐古主義的になっちゃうんですが、やっぱり90年代~00年代初頭のJ-POPって良い曲が多いですよね。ガチャガチャしてなくて、すっと耳に入ってくる感じ。

11.never young beach / 夏がそうさせた(Kさんセレクト)
日本のインディーロックバンド・never young beach が2015年にリリースした1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』収録。この曲を聴きながら、集まったみんなで「”夏がそうさせた”ってこと、あるよね~」とうんうん頷いてました。今聴いても名盤だなぁ。

12.細野晴臣 / 恋は桃色(Kさんセレクト)
細野晴臣の大名盤『HOSONO HOUSE』に収録の一曲。先ほどの never young beach も細野フォロワーの一組。(まずアルバムタイトルに『~HOUSE』が付いてますしね。)「ゴロンと寝っ転がりながら聴きたい一曲」とKさん。このビデオの通り、小さい和室のアパートがよく似合う音楽。

13.大瀧詠一 / それはぼくぢゃないよ(Kさんセレクト)
細野晴臣と共にはっぴいえんどを結成した大瀧詠一が、バンド在籍中の1972年に発表した初のソロアルバム『大瀧詠一』に収録。眠る”きみ”の横顔をこっそり覗く青年。それなのに「まぶしい光のなかから のぞきこんでいるのは それはぼくじゃないよ それはただの風さ」と可愛らしい嘘をつく詞を書いたのはあの松本隆さん。なんかもう、すべてが揃ってますね…。

14.Veronica Falls / Teenage(Kさんセレクト)
イギリスの男女4人組バンド・Veronica Falls の2ndアルバム『Waiting for Something to Happen』に収録のリードシングル。Veronica Falls はわたしの大大大好きなバンドで、1枚だけ仕入れることができたレコードをKさんが購入してくださったのでした。(そしてそれを今回ご持参いただきました。)メンバーの死去もあり、もう二度と活動を見ることはできないと思います。そんな彼らの、過ぎ去った青春の結晶のような、爽やかさとセンチメンタルが共存した名曲。

15.ANORAK! / 表参道(Kさんセレクト)
日本のインディーロック / エモバンド、ANORAK! の1stアルバム『ANORAK!』収録。エモと言えども ANORAK! の曲はアンダーグラウンドすぎないというか、ギターロック好きにも引っかかるような聴きやすさがあって、実際「エモはあまり聴いてこなかった」と口にするOさんも、この感じなら聴ける気がすると仰ってました。わたしがもし男の子に生まれてたら、こんなバンドをやりたかったなって強く思います。

16.THE BLUE HEARTS / 青空 & TRAIN-TRAIN(Kさんセレクト)
この中なら、〆はやっぱりブルーハーツでしょ!」ということで、最後に流したのは THE BLUE HEARTS の3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』収録のこの2曲。Kさん曰く「青空」は家族でカラオケに行った時に高校生の息子さんと一緒に歌う曲なんだそうで、そのエピソードを聞いただけで胸がじんわりしました。なんて素敵な光景なんだろう。

そして、最後に大音量で「TRAIN-TRAIN」を流して、今回のイベントは終了しました。まさに大団円って感じ。

こんな感じで初のイベント「record collectors club」はとても盛り上がり、時間も予定していた1時間半から2時間ちょっとに延長する形で終了しました。いやー3人でこんなに盛り上がるとは。あっという間の2時間でした。

聴いてきた音楽のバックグランドが違っても、話をしていると全員どこかでクロスする瞬間があって、その”共感”が嬉しく心地よく、さらに新しい音楽への興味に繋がったとても有意義な時間でした。少人数でじっくり話せたことも良かったんだと思います。

これからも定期的に実施したいなと思っているので、この記事を読んで興味を持ってくださった方はぜひ、次回以降にご参加いただけますと嬉しいです。nest vol.1 にご参加頂いたOさん、Kさん、そして最後までお読みくださったみなさま、ありがとうございました!


【 おまけ 】
イベントには間に合わなかったけれど、夕方遊びにきてくれたお客さんがCD・カセットテープを持ってきてくれました。一緒にバウムクーヘンを食べながら2人で音楽を聴いておしゃべりして、これはこれで楽しかったなあ。

左から
・John Tremendous「Welcome to Ultra Space World: Shitty Suburban Sounds from Chiba 2011​-​2023」
・Khaki「Undercurrent(タブロイドver)」
・汐千博「仮病なぼくら」
・Bialystocks「Tide Pool」
・Bialystocks「Quicksand」